超硬合金

超硬合金はタングステンカーバイドの微粒子をコバルトやニッケルを結合材にして焼結させた材料です。精密加工に用いられる材料としては最も硬い部類に入ります。大まかな分類は下記の通りです。

<超硬合金の主な取り扱い材料>

分類 CIS規格 特徴 用途
一般耐磨耗用
超硬合金
VM10~
 VM60
耐磨耗性と靭性の
バランスが良い
ダイパンチ
粉末成型金型
超微粒子超硬 VF10~
 VF40
耐磨耗性に特化
シャープエッジ向き
コネクタ向け金型
非磁性超硬 NM40~
 NM70
非磁性、耐食性
耐熱性など
理化学機器
メカニカルシール
放電加工対応
超硬合金
放電加工時の腐食減少
加工変質が少ない
ワイヤー放電
加工部品用

※CIS規格:超硬工具協会規格のこと

超硬合金はタングステンカーバイドの微粒子をコバルトやニッケルを結合材にして焼結させた材料で、精密加工に用いられる材料としては最も硬い部類に入ります。精密に加工しやすい金属であり、硬度の高さから耐摩耗性や強度を目的に重宝する材料です。

超硬材料はいくつか区分けがありますが、一般耐磨耗用超硬が最も汎用的に使われ、耐磨耗性と靭性のバランスが優れています。粒子の細かい超微粒子超硬はHRA90を超えて耐磨耗性に優れ、カッターなどの刃先に使用されます。ただし衝撃には弱く、割れやチッピングに注意が必要です。

超硬は結合材にコバルトが良く使われ磁性を持ちますが、設備や用途によっては磁性が悪さしてしまいます。非磁性を求める場合にニッケルベースの結合材の材料を用いると非磁性となります。

超硬合金は粉末冶金と呼ばれる方法で材料が作られますが、一般鋼材のように購入した材料から削り出すのでは高価な材料が無駄になってしまうため、あらかじめある程度成型した上で焼き固めてから精密加工しています。超硬は高硬度で刃物で加工が難しいため研削加工か放電加工に頼りますが、放電はクラックが生じたり異常放電等で加工時に変質するリスクがあります。放電加工対応材料を選定すると、特定の形状では安定した精密加工が可能となる場合があります。

タングステンが貴金属なので材料費は高価になりますが、寿命は鋼材と比較にならないほど伸びることもしばしば。コストダウンの為には、必要部だけに部品を分割することや、ワークと摺動したり打撃したりする部分のみ超硬化する接着やロー付けの設計が効果的です。

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