滑り特性

滑りを良くするか、滑らないようにするか、部品の使用目的によって求められる滑り特性は様々です。滑りを良くする基本は、「摩擦係数の小さい素材を使用する」「表面粗さを小さくする」「潤滑性の物質を介在させる」ということになりますし、悪くするにはその逆を行なうことになります。ただ、物質の摩擦現象は非常に多岐の要素がからむ難しい現象と言われています。

1.摩擦係数

下表に鉄に対するある条件での摩擦係数の比較データをまとめてみました。
基本的には表面を摩擦係数の小さい物質にすることで滑りを良くすることが出来ます。良く使われる手法としては、PTFE含浸の表面処理やDLCコーティングが有ります。逆にゴムのように摩擦係数が1を超える物質は滑り止めとして有効です。

鉄に対する摩擦係数(出展:機械工学便覧)

0.52
アルミニウム0.82
0.46
炭素0.15
ポリアセタール0.15~0.4
PTFE(テフロン)0.05~0.32
グラファイト0.2~0.4
ポリイミド0.15~0.5

2.表面粗さ

一般的に絶縁性の評価基準は、高圧電路で1,基本的には表面粗さを小さくすると滑りは良くなりますが、ある領域以下になると、凝集摩擦や吸着現象が顕著となり摩擦力が増大します。実際に研磨仕上げした面にショットブラストを施し、一様に荒すことで滑り特性が良くなった例が多数報告されています。ほど良い表面粗さがいくらかは一概に言えず、どんなものを相手にするかや使用環境によって異なってきます。滑り止めとしては意図的に表面を荒したり、砥粒を電着するなどしてグリップ力を向上させる手法が有効です。

3.潤滑剤

滑りを良くするためにグリースなどの潤滑剤を塗布するのが一般的な手法ですが、二硫化モリブデンや二硫化タングステン等、自己潤滑性を持った個体潤滑剤をコーティングする手法もあります。

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