磁性
一言で磁性と言ってもそこには、強磁性と非磁性、軟磁性と硬磁性、常磁性と反磁性、等々さまざまな磁気特性が存在します。一般的な機械部品で磁性上の課題となるのは、強磁性か非磁性か、と軟磁性特性になります。
1.強磁性と非磁性
世の中に完全に非磁性の物質は存在せず、どんなものでも磁場により何らかの影響を受けますが、その影響度合いが無視できるレベルのものを「非磁性物質」と言います。銅やアルミ、樹脂や木材等がその代表です。
一方で鉄やコバルト、ニッケルのように磁場に置くと磁化して自身が強い磁石になったりする物質を「強磁性物質」と言います。
オーステナイト系のステンレス材(SUS304やSUS316等)は非磁性材と言われていますが、加工したり低温化に置かれると一部がマルテンサイト化して磁性を持ってしまいます。ステンレスを完全非磁性状態で使用したい場合には焼鈍処理をするなど、加工後の処理が必要になるので注意が必要です。
2.軟磁性と硬磁性
磁界が加わっている時は磁化して強い磁石になるが、磁界を取り除くと元に戻るものを「軟磁性材」、磁界を取り除いても磁化状態がのこり永久磁石になるものを「硬磁性材」と呼びます。軟磁性材の代表格は鉄、パーマロイ、パーメンジュール等、硬磁性材の代表格はネオジム鉄ボロン合金、フェライト、サマリウムコバルト合金等になります。
機械部品で時に必要となるのは軟磁性特性です。着磁ヨークやソレノイドの可動子、磁気シールド効果を持たせたい部品等が該当します。一般的には鉄系の合金を使用しますが、高い軟磁性特性が必要な場合には純鉄やパーマロイ、パーメンジュールが使用されます。
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