特注部品加工事例 PARTS PROCESSING
超硬材料を使用したヒートコマ(230×90×15)です
一般的な超硬材料を使用した特殊形状をしたヒートコマです。一般的に超硬材料は熱伝導率の良い材料ではありませんが、耐摩耗性を重視しての材料選定となっております。
230×90×15の板材の板厚には±0.005の厚み公差および。平面度0.005が指示されています。また部品の中心部分には幅2mmで深さ1mmの特殊形状の溝が入っています。その溝へは下面側よりφ2の穴がつながっております。
材質が超硬材料であるために刃物による溝部の加工を行うことができません。そのため弊社では型彫放電加工機にて計4箇所の溝加工を行っております。放電加工を行う際には電極材料を加工したい形状と逆の形状、つまり凹であれば凸形状に加工する必要があります。今回の形状の場合は2mm幅の突起形状をした電極にて加工を行います。また板厚に入っている寸法公差および平面度は平面研削盤にて仕上げ加工を行っております。
SUS440C(焼入)のヒートコマ(70×110×6)です。
SUS440C(焼入)を使用したヒートコマです。SUS440Cはマルテンサイト系のステンレスのため磁性があります。そのため平面研削を容易に行うことが可能です。(平面研削盤の別途にくっつくため)そのためステンレス材料の中では精度を出しやすい材質となります。
板厚公差が5±0.01となっており。上面に2.3幅で深さ0.5±0.02の溝、仮面に23、15幅で深さは一般寸法の溝がそれぞれ入っています。幅方向の寸法公差は全箇所+0.01/0となっています。また貫通穴としては12-φ2 +0.007/+0.002(2.3幅溝の中)と72-φ1 +0.007/+0.002の精度穴が多数あります。これらの精度穴はX,Y方向ともに±0.01のピッチ公差が入っているために焼入れを行った後に仕上げ加工を行う必要があります。
本部品においてはフライス加工にてブランク加工(複数の穴もブランク加工時に下穴をあけておきます。)を行った後に、焼入れを行います。これにより素材に硬度がはいります。そして上下面及び溝部を平面研削にて仕上げ加工を行います。下穴加工をしておいた各穴をワイヤー放電加工機にて精度穴に仕上げていきます。
SUS440C(焼入)+レイデント処理のクランパーです(110×50×10)
このクランパーにはHPM38(プリハードン)を使用しています。HPM38(プリハードン)は硬度が約HRC30と、一定の硬度があるにもかかわらず、生材と同じように切削加工を行うことが可能です。そのため、生材からHPM38に材質を変更すれば、加工コストの上昇を抑えながら耐摩耗性や剛性を向上させることが可能です。
このクランパーはワークと接触する部分と反対側の面に平行度0.02が求められています。
このようなブリッジ型のクランパーの場合、使用時のたわみ(歪み)により、高い加工精度(平行度0.02)が効果を発揮できないことがあります。この場合、HPM38の様な材料を使用すれば、部品の剛性が向上し、加工時の精度がそのまま部品使用時の効果に反映されやすくなります。
SUS440C(焼入)+レイデントのクランパーです(70×50×7)
このクランパーにはSUS440C(焼入 HRC58以上)を使用しています。通常、クランパーには耐摩耗性は不要ですが、焼入れしたSUS440Cを使用すれば、高い剛性を得ることが可能です。
この部品は平行度0.05以下の仕様になっています。
粗加工後、焼入れ処理を行うため、仕上げ加工時には歪み(反り、ねじれ)をとる必要があります。そのため生材や調質材の時に比べ、コストが高くなってしまいますが、その高い剛性により、使用時も歪みが発生しにくくなります。
平行度0.005mm超硬製クランパーです(150×100×5)
このクランパーには超硬を使用しています。一般的に、クランパーに超硬を使用することは、コストの面からほとんどありませんが、スチールに比べ、剛性が段違いによいため、「どうしても」というときのみ使用されます。
このクランパーは平行度0.005mmが求められており、窓部も26か所と比較的多めです。
クランパーの材質に超硬を作用すると、研削・研磨加工や放電加工を多用するためコストが非常に高くなってしまいます。しかし近年、ワイヤーボンダー装置に要求される精度がますます向上しており、高剛性で高加工精度が求められる超硬が使用されるケースが増加してきています。
SUS303+レイデント処理のクランパーです(120×90×7)
一般的なクランパーでSUSをを使用しています。
扇型をした、オーソドックスなクランパーです。
材質に生材を使用していますので、マシニング、ワイヤー放電、平面研削盤による加工になります。ワイヤー放電加工でスリット(幅0.3)加工を行う際、歪みが発生しないよう事前に応力除去を行うことが重要です。
SUS440C(焼入)平行度0.01mmヒートコマです(65×45×8)
SUS303を用いたヒートコマです。SUS303は防錆性が高く、ヒートコマの様に高温下使用し、錆びが発生する恐れのある部品には向いているといえます。
吸着穴径φ1.3、平行度0.01の仕様になっています。表面処理はB-TiAlN(ブラックチタンコーティング)を採用しています。
SUS303はプリハードン鋼や焼入れ材に比べ、平滑な面に仕上げることが難しい材料ですが、この部品はB-TiAlNを処理することで、平滑性を出し、また光の反射を抑えています。通常のTiAlNコーティングは黒というより灰色に近く、光があたると白っぽく反射するのに比べ、B-TiAlNはより黒に近いため、光の反射を抑えることが可能です。
超硬+B-TiAlNのヒートコマです(50×40×5)
超硬製のヒートコマです。超硬を採用すると加工方法の違いから、スチールに比べコストが高くなってしまいます。しかし、高硬度であるため、加工精度が高く、加工面も非常に平滑になりやすいという特徴があります。
超硬合金を採用していますので、先端部のザグリなどは全て型彫放電加工で行います。型彫放電加工は金型部品の加工にも頻繁に使われ、非常に高い精度が期待できます。この部品の場合。ザグリの大きさ、位置、共に公差レンジ0.01(±0.005)mmの加工精度を実現しています。
32-φ0.5 SUS304製のヒートコマです(180×20×6)
ヒートコマに最も頻繁に使用されるSUS304を採用しています。防錆性に優れますが、反面、面精度が得られにくいなどの特徴があります。
吸着穴径φ0.5が32か所開いています。
面精度や加工精度を求める場合には、硬度が高い焼入材や超硬を採用するべきですが、このような32か所も小径の穴があき、しかも穴径に一定の精度を求める場合、細穴放電加工やワイヤー放電加工を行う必要があるため、コストがかなり高くなってしまいます。そのような場合にはこの部品の様に生材を使用し、マシニング加工を行うことによってコストの上昇を抑えることが可能です。
HPM38製ヒートコマです(65×45×8)
HPM38(プリハードン)を使用したヒートコマです。HPM38は樹脂成型金型向けに開発された鋼種で、切削加工が可能で防錆性が高く、加工時に面粗さが小さく抑えられるという利点があります。生材のヒートコマに比べ、滑らかな面が得られます。
吸着穴径φ0.8の仕様です。
φ0.8程度の穴であれば、マシニングによる加工が可能です。平行度0.02をにするため、平面研削盤で仕上げ加工を行っています。