特注部品加工事例 PARTS PROCESSING
HPM38へダイヤモンド電着をしたチャックツメ(最外角25×70)です
HPM38へダイヤモンド電着を行ったツメです。ダイヤモンド電着とはワーク上にダイヤモンドの砥粒が接触した状態でメッキを行うことで表面にメッキ層をつくり、砥粒を物理的に固定する工法のことを言います。ダイヤモンド以外にもCBNなどを固着することもあり、多くは工具や砥石の製造工程で行われます。治工具などで使用する場合は特に耐久性を求められるような部分に使用すると効果的です。
全体的に複雑な形状をしており、寸法公差±0.03~±0.05での位置関係が数カ所にうたわれています。また上下面には平行度0.05が指示されております。
位置関係が寸法公差によって厳しく指定されているため、弊社では最初に上下面の平面研削を行い平行度をしっかり出した後に、ワイヤー放電加工機にて一体加工を行っております。それにより位置関係をより高精度に出しております。
SUS303+窒化処理のツメ(最外径φ50×L25)
SUS303へ窒化処理(塩浴軟窒化)をすることで耐摩耗性を向上させたツメです。一般的に窒化処理と言っても処理をする工法によって様々な種類があります。本部品で行った塩浴軟窒化は 520~540°程度の温度にて処理を行い、金属の表面に各種元素を浸透させます。これにより表面に化合物相とその下層に拡散相を形成します。化合物相は優れた耐摩耗性、耐焼付性、耐かじり性を示します。
最外径φ50でその先にφ16.9 +0.01/0があり内径はφ15が貫通しています。Φ16.9の端面には幅0.3±0.01の突起が高さ0.5で25箇所ついております。
先端部の突起が0.3±0.01の寸法公差が入っているため、まずは外径φ16.9およびφ16.3±0.01深さ0.5のザグリ形状の加工を旋削加工にて行います。これにより0.3±0.01の突起を作る上でのブランク形状が出来上がります。この状態からエンドミル加工にて25箇所の突起を仕上げていくことになります。弊社では複合旋盤加工機での単機加工を行っております。
プリハードン鋼製ツメ(77×20×15)です
HPM38(プリハードン)製のツメです。HPM38(プリハードン)はHRC30程度の硬度がありますが、切削加工が可能です。つまりある一定の耐摩耗性がありながら比較的加工コストを抑えられる、ということです。
このツメの先端部は3DCADが無いと形状を理解することが困難なものです。
この様な部品の加工を行う場合、超硬や焼入れ材を使用すれば、かなりの高い加工コストがかかることが予測されます。しかし、HPM38(プリハードン)を使用することで主な形状を切削加工で行うことができ、しかも焼入れによる歪修正の必要もありません。
SKD11製クランプツメ(45×25×10)です
SKD11(焼入れ)を使用したツメです。SKD11は耐摩耗性、加工性、防錆性に優れ、精密機械加工部品に頻繁に採用される優秀な材料です。
このツメも3DCADが無ければ形状の解釈が難しい形状をしています。さらに複数個所にわたり0.01mmの幾何公差が入っており、加工難易度の高い部品と言えます。
当社には、複雑形状品の一貫加工対応ができるよう、切削加工機、研削加工機、放電加工機を各種とりそろえているため、このような形状の加工も全く問題ありません。
SKD11製ツメ(30×20×10)です
SKD11(焼入れ)を使用したツメです。SKD11は耐摩耗性、加工性、防錆性に優れ、精密機械加工部品に頻繁に採用される優秀な材料です。
このツメも3DCADが無ければ形状の解釈が難しい形状をしています。さらに複数個所にわたり0.02mmの幾何公差やツメ部には最も厳しい部分でレンジ0.04mmの公差が指定されており、加工難易度の高い部品です。さらにTINコーティングが指定されています。
当社には、複雑形状品の一貫加工対応ができるよう、切削加工機、研削加工機、放電加工機を各種とりそろえているため、このような形状の加工も全く問題ありません。また、コーティングも表面処理会社と協力して行っています。
S50C+非磁性超硬ロー付けのツメ(60×10×7)です
耐摩耗性、耐食性に優れた非磁性超硬をS50Cのボディにロー付けしたツメです。
先端部の非磁性超硬部分の外形寸法は約4×4×3mmと非常に小さいものです。
その超硬を先端部にロー付けした後、仕上げ加工を行っています。S50Cはロー付け時の熱による熱膨張が少なく、超硬をロー付けするのに適した母材と言えます。また、先端部の最も精度が要求される部分は10000分の1mm制御のプロファイル加工機で行っています。
3個1セットで使用するプリハードン鋼製のツメ(60×30×20)です
HPM38(プリハードン)製のツメです。このような3個1セットで使用するツメはどの様にコストを抑えるか、設計者の悩みの種かと思います。一定の硬度(HRC30前後)と加工性(切削可能)を併せ持ったHPM38はお勧めです。
3個1セットで仕様するため、各穴の位置精度などが非常に重要になります。
このツメ(最小公差レンジ0.01)は3個ぞれぞれ個別に製作を行いますが、より高い精度が必要な場合は一つの材料を加工し、最後に3つに切断した後、仕上げ加工を行う必要があります。
YAG+無電解ニッケルめっき(先端部平行度0.002)のツメ(50×9×9)です
YAG(マルエージング鋼)を使用したツメです。マルエージング鋼は時効硬化処理によりHRC52以上まで硬度が上がるにもかかわらず、極めて高い靭性を持ち、折損対策には抜群の効果を発揮します。また、鏡面仕上げ性にもすぐれている一面を持ち、小径長尺のイジェクターピンにも頻繁に使われています。
このツメの先端部には平行度0.002mmの幾何公差が指定してあります。
マルエージング鋼は非常に優れて靭性を持っていますが、そのため時効硬化処理後の歪修正が難しく、多くの経験値と高い技術を要します。特にこのツメの様に厳しい幾何公差が指定してあるもについてはかなりの加工時間を要します。つまり、折損対策には効果を発揮する反面、他のスチールに比べ部品1個の加工コストが高くなるということです。部品の折損による交換が頻発してしまっている部品に推奨いたします。